目指すのは、IoT市場の未来を創るエンジニア集団。
高いレベルで事業を理解し、
技術で貢献。

執行役員 CTO
小早川 知昭

エンジニア、戦略コンサル、経営者の経験から導いたエンジニア組織

―小早川さんは、ミーク株式会社のCTOとしてエンジニア組織を一から構築してきました。ご自身のキャリアを踏まえ、エンジニア組織の特長を教えてください。
東京大学・大学院で通信の研究をしたのち、新卒で大手通信会社にエンジニアとして入社したのが1997年です。その当時、日本はインターネットが普及しはじめるタイミングで、大手通信会社でもまだインターネット専業で研究や社会実装をする人は少なかったように思います。1日中ラボに籠もることも多く、「ある技術について疑問があれば、その技術を開発した本人に聞きにいける」といった恵まれた環境で仕事をしていました。サービス開発の技術者として、就職してから4~5年で専門書を3冊出すこともできたので、運が良いスタートを切ることができたと思います。

その後、エンジニアとして培った技術をビジネスに活かす術を学ぶため、大手通信会社に所属しながらコロンビア大学のビジネススクールでMBAを取得し、大手通信会社や関連会社の経営企画部で実務に励みました。そこで、よりビジネスを極めたいという思いから、外資系戦略コンサルに転職し、数年間、ビジネス戦略を立案する現場にどっぷりと浸かってみました。それまでの先端技術を研究・実装するエンジニアから、技術を活かした戦略コンサルを経験したことで、相反する領域のどちらの重要性も深く理解することができたのは、ミークのエンジニア組織をつくる上で非常に役立っていると実感しています。

それから時代は変わり、クラウド黎明期に突入していきます。私は戦略コンサルからソニーに転職し、クラウド基盤の構築をはじめとする、ネットワーク通信領域での事業開発を数多く手掛けていました。その合間でリソースを集め、ソフトウェア開発者向けSaaSを提供するRocroを子会社として立ち上げました。コンセプトは、「ディベロッパーによる、ディベロッパーのための、ディベロッパーの会社」です。この会社の設立は、ミークの組織デザインを語る上で非常に重要な経験となりました。

―どのようなことが起業のきっかけになったのでしょうか?
2015年にサンフランシスコの「CircleCI」や「Hashi Corp」、「GitHub」などにお邪魔したことがあります。当時はまだ今ほど大規模にビジネスが展開される前でしたが、彼らのビジネスモデルと組織の在り方に強い感銘を受けました。今では当たり前になりましたが、PCさえあればできるソフトウェア開発は、必ずしも現地のオフィスで仕事をする必要がありません。実際、当時の彼らの本社オフィスにも1~2人しかいない状況でした。土地に縛られず世界中から優秀な人材を獲得できることが、その当時は非常に画期的で、ディベロッパーとしては夢のようなビジネス・組織だと感じました。まさに「ディベロッパーによる、ディベロッパーのための、ディベロッパーの会社」で、これを日本でやりたいと思ったのです。

Rocroでは、彼らのビジネスモデルを参考にしながら、コードレビューを自動で実施するSaaSを展開しました。導入は順調に進みましたが、単価が安いこともあり、ソニーのグループ会社として発展させていくには成長スピードが期待に応えられないと判断しました。ちなみに現在、Rocroのプロダクトはソニーグループの研究開発プロジェクトとして発展を続けています。

話が長くなりましたが、私はこれまでのキャリアの中で、研究開発も実装もするエンジニア、ビジネスを描くコンサルタント、通信事業の経営企画、その当時は真新しかった組織づくりとビジネスに挑戦した経営者として、様々な経験をしてきました。現在はその経験をもとに、ミークのCTOとしてビジネスとエンジニア組織をデザインしています。

―エンジニア組織のデザインについて、具体的に教えてください。

ミークのエンジニアには、ビジネスも考えながら仕事をしてほしいと思っています。技術としてもビジネスとしても、将来的にスケールしないことにコミットしたキャリアを歩んでほしくはないからです。

そのため、ミークのエンジニア組織は、確実に成長する市場で、技術としては長年廃れないものに触れながら、ビジネスとして結果に跳ね返りやすい開発と実装にコミットできるキャリアを歩めるように気を付けています。

例を挙げますと、電話は昔は一家に一台、家族や組織に属するものでした。それが技術の進歩に伴い携帯電話が普及し、一人一台のものになり、回線数が数倍に膨らみました。そしてさらなる技術の進歩により、通信回線はついに人間からモノに付けられるようになりました。あらゆるモノや空間とインターネットが繋がり、回線数はさらに爆発的に伸びていくことが中長期的に確実かつ不可逆であると考えています。

IoTは2015年頃から2020年に至るまで、イノベーターやアーリーマジョリティである資本を持つ企業、もしくはテックカンパニーだけしか手を出しにくい領域でした。高額な投資だったり、幅広い分野の技術が同時に必要であったように思います。しかし現在では、例えば街のパン屋さんであってもIoTを安価に導入して、ビジネスの拡大を想像できるくらいにハードルは下がってきています。市場のキャズムを超える手前まで到達していると思います。

当然、キャズムを超えれば急速に市場は拡大していくので、そこに関わる技術はエンジニアのキャリアとして数年で廃れるものではありません。ミークは、ノーコードでIoTを実現できるテクノロジープラットフォーム「MEEQ」を開発・提供しています。具体的な数値公開は控えますが、既にビジネスとして一定のインパクトがある規模に達しています。企業さまのニーズに即時に応えながら開発と実装をできる環境が既にあるため、前述したエンジニア組織は、市場のなかでお客様からフィードバックをいただきながら改善と新たなサービス開発を行える状態です。

もう一つ大切にしていることは、開発・運用を外注せずに自社で行うことを優先することです。「テックカンパニーを名乗る企業に入社してみたら、業務のほとんどが外注管理だった」なんてことはよくあります。私は、エンジニアとしてキャリアを築くために重要なのは、自分たちで考えて創り上げることだと考えています。ソフトウェアならディベロッパーとして、ネットワークならネットワークエンジニアとして、自分でプロダクトを開発できる環境とカルチャーは守り続けていきます。

また、エンジニアであっても別の職種を経験できることも特長の一つです。仮にエンジニアが望めばビジネスサイドにも関われるように、柔軟に職種をシフトすることも可能です。私自身がそうでありたいと考えたように、挑戦したいと思ったら挑戦できる環境を整えることで、視野が広がり、より良い仕事ができると確信しています。

IoT市場のキャズムを超える、2段階の技術戦略

―こうしたエンジニア組織から生み出される、ミークの技術的な強みを教えてください。
技術的な強みをお伝えする前に、ビジネスサイドの強みを簡単に説明させてください。ミークはビジネスサイドの戦略、エンジニアサイドの戦略の両輪で成り立っており、ビジネスサイドの戦略を知ってからのほうが、より技術的な強みを理解いただけるためです。

ミークが展開するMVNE事業は、いわゆるMVNO事業者にとっての卸業にあたります。IoTを始めるためにはSIMが必要不可欠であり、自社で販売するだけではなく、卸業としてMVNOのパートナーを通じて、IoTへのエントリーポイントを拡大していける立場にあります。また、ミークは多様な市場領域のパートナーと資本業務提携をしており、パートナーの事業に特化したIoTプロダクトを提供することが可能になります。MVNE事業でIoT市場の裾野を拡げていきつつ、いくつかの重要な市場においては強力なパートナーと共に垂直統合的にプロダクトを展開し、面的な広さと重要市場でのボリュームを同時に狙っていきます。ビジネスサイドの戦略については、CEO・峯村竜太のインタビューをご覧いただくことをおすすめします。

さて、ここからが本題です。技術的な強みに関しては2段階あると考えています。まず事業にIoTを導入する最初の段階では、企業さまがいざIoTを始めるとなると、足りないSIMの発注だけではなく、通信量の購入から管理まで、様々な業務が発生します。「MEEQ」は、これら全てを簡単に実行できるのです。実はこれだけでもIoTをはじめる企業にとっては導入のハードルが劇的に下がるのです。この基本的な管理作業を簡単にしなければ、IoTは投資コストが大きい上に、管理コストが高くなるため、市場のキャズムは超えられないでしょう。

次に、企業さまが「MEEQ」を通じて発展させられる事業領域の広さです。企業さまはIoTによって、現場のすべてをリアルタイムでデジタル化することが可能です。デジタル化されたデータは集計して人が判断することも、AIがデータを学習して自動化することも可能です。しかし、自社で改めてソフトウェアを開発したり、外注してシステムを開発したりするなどの設備投資を始めてしまうと、先述したIoT市場の課題である「投資が高価であり、かつ投資対効果が見えにくい」障壁にぶつかってしまうことになります。そこで「MEEQ」の出番です。

「MEEQ」は、ノーコードで簡単にIoTやAIなど最先端の技術を活用できるプラットフォーム、という思想で開発しています。企業の多様なニーズを埋める存在になるために、自社だけではなく、様々なサービスと連携できるように準備しているところです。何が足りないのかは資本業務提携先も含め、精度高く認識できているので、プラットフォーム内で新しいサービスを投入すると反応が良く、無駄のない開発ができている手応えがあります。2021年3月にサービスを開始し、まだたった1年間ではありますが、非常に良い循環に入っていると確信しています。

また、市場からのフィードバックによる発展だけでなく、ソニーグループの一員であることによる技術的発展も期待できます。ソニーグループは贔屓目なしにAI分野にかなり強い企業だと思いますが、ミークはソニーのAIエンジニアと共にプロダクト開発・技術開発を行っています。真に最先端の技術でエンジニアとして市場に挑むことができるのです。ネットワークエンジニアであれば、モバイルコアの最先端の技術開発、ソフトウェアエンジニアであれば、SaaSの最先端の運用環境で開発しつつ、AIなど先端技術にも世界最高レベルで取り組めます。新しいものを身につけたいエンジニアにとっては、非常にやりがいのある環境だと思います。

理想は、広い視野で事業を
理解できるエンジニア

―ミークでエンジニアとして働くには、どのような方が向いていますか?
「世界を変える、そのイノベーションのそばに。」――それが、ミークのVISIONです。私たちは今、IoT市場のキャズムを超える挑戦をしています。その市場環境において、ミークは手前味噌ながら創業3年間で優位な立場を築いていると思っています。しかし、IoTのキャズムを超えた後にトップシェアを獲得することが企業としてのゴールではありません。あらゆる企業がテクノロジーを意識せず、イノベーションに挑戦するのが当たり前になった時、その一番近くで技術者として企業を支える存在であることこそがゴールです。

それを実現するためには、ミークのエンジニアのカルチャーを確立していくことが必要だと思っています。ITに限りませんが、エンジニアは常に理屈を勉強することが重要です。表面的な現象を理解するだけでなく、その原理を常に追求し、自らの手で確かめ、身に付けていくスタンスが必要不可欠です。それに共感いただけるのであれば、気持ちよく働くことができて、他社ではできないチャレンジができる機会の多い環境だと思います。

私もまだまだ道半ばですので、VISIONを実現するために、同じ志を持つ仲間と一緒に日々研鑽し続けたいと思っています。興味があれば、お気軽に、まずは事業の話だけでも聞いてみていただけると嬉しいです。

―今年から新卒採用もスタートしました。エンジニアとしてキャリアを始めたい皆さんには多様な可能性が広がっていますが、その中でミークを選ぶメリットを改めて教えてください。
近年はウェブサービスやインターネット関連の技術は自ら勉強し実際に開発・提供することが容易になってきました。また教育もより専門性を重視したものとなってきており、若い世代であればあるほど、優秀な人が多くなってきているという印象を持っています。

そのような新卒でエンジニアを志す皆さんにとって、ミークはキャリアを始めるには魅力的な職場です。大企業に就職すれば、若い内から、大きなプロジェクト・サービスや予算の中で、腰を据えて開発に取り組むことができるものの、自分の腕一本で成し遂げるにはスピード感が足りません。一方、一般的なスタートアップでは結果次第で早い段階で出世が見込め、スピード感はあるものの、強固な経営基盤がある企業は多くなく、安定してキャリアを築いていくにはリスクがあります。

そこでミークです。IoT市場におけるスタートアップとして、ベンチャー企業のカルチャーとスピード感、成長速度で仕事ができるにも関わらず、すでに一定の規模と売上を持つプラットフォームを運営、さらにソニーグループというグローバルカンパニーの巨大なアセットにアクセスが可能なミークは、新卒の皆さんにとって“いいとこ取り”の環境だと思っています。

大企業かスタートアップかという極端な選択をせずとも、どちらの良い点も観察することができますし、ミークのエンジニア組織のデザイン上、望めばエンジニアから他の職種に移ることも可能です。選択肢が多い時代だからこそ、ハイブリッドな立場からキャリアをスタートするのも良い判断だと思います。新卒の皆さんも、ぜひ気軽にご応募いただければ嬉しいです。
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IoT市場のキャズムを超える準備はできた。
失敗を恐れずチャレンジを後押しする組織づくりの追求。

企業のイノベーションを支え、産業構造の変化から取り残さないために設立したミーク。
スピード感ある事業運営や意思決定で市場動向に合わせて自由度高く事業を展開・拡大を続ける同社が、今取り組んでいる事業や、共に成長していく社員たちの働き方について伺いました。

代表取締役 執行役員社長 峯村 竜太